ブルーベリー畑から逃げてきたお話③ 周りの人ってほんとに大事。

このお話は連載ものです :)

前回までの、ブルーベリー畑のお話はこちら ↓

第1回 海外にいる日本人、狙われてます。

第2回 トラブルを防ぐためにできること

 

★★★

これまで、ブルーベリー畑のお給料について書いてきました。

正直、お金の問題だけなら「次の仕事が決まるまでは働きつづけて、出費を抑える」という選択肢もあったと思う。

それでも10日間でファームを出ることに決めたのには 理由がもう1つ。

「一緒にいる人たちとの価値観があまりにも違っていた」からでした。

 

前にも書いたように、私が働いていたファームでは9割以上がワーキングホリデーで滞在している日本人。

お互いに母国語で話せるし、初めは「ここにいる人たちから いろんなお話を聞けたらいいな〜」と思ってワクワクしていたの。「日本から離れた場所で旅をして働いて、他の人たちはどんな目的で来たんだろう?どんな夢を持っているんだろう?」って気になってた。

 

人によって違う、いろんなストーリーが聞けるかと(勝手に!)期待していたけれど、いざ聞いてみると「自分が手に入れた経験や情報を、容易く他人にはシェアしたくない」と考える人もいるんだって分かったの。

例えば「ブルーベリー畑の次は、どこへ行くの?」と聞けば「秘密〜!」と返ってきたりとか…(笑) ホステルにいれば必ず聞かれるくらい、当たり障りのない話ですら答えが返ってこなかったり、20代どうし母国語で話しているのに会話が成り立ってなかった。

私は「同じ日本人だし仲良くすればいいじゃない!みんなで情報交換しようよ」と思うけど、みんながそうではないみたい。

 

ビザ延長のための88日間さえ終われば 二度と会うこともないから!と開き直り、「周りのことなんて気にかける必要はない、自分のことだけ考えてればいい」と割り切っている人も多かった。

シェアハウスの住人もほとんどが日本人。家をキレイに使うこともできるはずなのに、「自分さえ良ければそれでいい」と思ってる人が多いから どこもかしこも汚いまま。

掃除をしないで汚く使ったり「ここは私のスペースだから」と明らかに広いスペースを占有したり、「ファームまでの送迎代は 車を出してくれた人から請求されない限り払わなくていい」と言ってたりとか。。倫理観の違いに、ちょっとビックリした。

 

海外へきて開放的になっているのか、「さすがに日本ではそんな自分中心に生きてないよね…?」ってレベルのことが毎日起こってた。

★★★

ここで、あすかのお話。

もともと私の性格は、周りからの影響をものすごく受けやすいタイプです。

世の中には 身近に何かが起こっても「自分には関係ない」とサラッと流せる人もいるけれど、私にはそうやってスルーするのがなかなか難しいこと。

 

ときどき考えすぎてメンタルに良くないこともありますが、私には「自分とは関係なさそうなこと」にまで興味を持って考える癖がある。(例えば、道ばたでホームレスの人を見ても「同じ人間なのに、どうして今の境遇になってしまったんだろう。どうしてこんなにホームレスの人がいるのか…」とか考えちゃうの。)

 

そういう感覚でブルーベリー畑にいると、

「みんな、さすがに日本では ここまで自分中心に考えたりしてないよね…?この人たちは日本社会に適応できなくて、居場所がなくて海外へ逃げてきたのかな。永住権を目指すのも険しい道で、ビザを延ばしたところで一時滞在者の身であることには変わらない。その後はどうするつもりなんだろう。彼らは何歳になるまで こうして(自分中心に)生きていくんだろう。」

なんて考えて、

「ここは社会からドロップアウトした人たちの溜まり場なのかな?もしかしたら私も、日本社会に適応できないからここへ辿り着いてしまったのかも。自分も他人事ではないわ。」と思うようになりました。

 

そのときの私は お仕事探しの大変さをものすごく感じていて、自分もこのファームを出れば「お金もないのに仕事もない、(ホステルを予約しないと)きょう寝る場所さえない」という状態。「ワーホリで来ている人たちも自分も、貯金を切り崩す生活ならホームレスの一歩手前やん。」とか思ってた。

 

ブルーベリー畑では 一緒に過ごす人たちとの価値観があまりにもかけ離れていて、なんでも自分のことみたいに考える私には「もう大人なのにどうしてこんな発想になるの?」と疑問に思うことが多すぎて、ストレスに感じました。

「なんでこうなってしまうのよ?」と分析するけれど、それって自分のこころの中でずっと文句を言っている状態なんだよね。

そんな場所に数ヶ月もいたら ネガティブに考える機会はもっと増えるだろうし、不満に感じる時間が長くなるほど「自分の性格まで、もっと悪くなりそう…」と怖くなった。

 

お給料が少ないこともあったけれど、それよりも人間関係のほうが遥かに大きな問題だった。「一刻も早くここから出なければ!」と必死になって次の目的地をさがし、短期間での大移動に至ったというわけです。

「このままではヤバイ!」と思うときには、逃げることも大事な手段だと思う。

★★★

ウールグールガ → アデレードへ戻る道中では 最初に滞在していたシドニーへ寄って、そのときに出会った人たちと再会してきました。

「あすかに会えて嬉しいよ〜!」と言いながら温かく迎えてくれて、荒れていた心が少しずつ穏やかな気持ちになりました。彼らの優しさが、本当に大きく感じたよ。みんなありがとう。

 

あくまでもブルーベリー畑で出会ったすべての人と合わなかったわけではなく、尊敬できたり「また会いたい!」と思えるくらい仲良くなれた人もいる。

そんな人に出会えたのも あれこれ苦労した経験も、そこへ行ったからこそ手に入った財産で、たくさん勉強になりました。

 

やっぱり「自分の周りにどんな人がいるか」って、それだけで上手くいくかどうかが決まるんじゃない?って思えるくらい、すごくすごく大切な要素だと学びました。

 

 

ではまたね!